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ビジネスジャーナル

セブン&アイ、利益6割減で深刻な不振突入...ヨーカ堂と百貨店は赤字定着、コンビニも成長鈍化鮮明

10/16(日) 06:05
イトーヨーカ堂の店舗(「Wikipedia」より)

 セブン&アイホールディングスは2016年3~8月中間連結決算の連結最終損益が前年同期比60.4%減の334億円と発表しました。売上高は2兆8661億円(前年同期比4.3%減)、営業利益は1814億円(同5.2%増)です。

 不振のイトーヨーカ堂やそごう・西武の不採算店舗の資産価値を引き下げたことや、そごう・西武の株式の価値が下落していることによる関係会社株式評価損を計上したことなどにより、880億円の特別損失を計上したことが影響しました。

 セブン&アイは事業による優劣の差が鮮明になっています。コンビニエンスストア事業は好調です。セブン-イレブンの、世界での店舗数は6万店を超えました。国内では1万9000店を超えています。8月中間期のチェーン全店売上は2兆2860億円(前年同期比5.5%増)となっています。

 一方、イトーヨーカ堂や百貨店事業が足を引っ張っています。百貨店事業は特に深刻で、資産価値が下落していることは先に記した通りです。

 10月6日に発表された3カ年中期経営計画によると、そごう・西武の関西の3店舗を同業のエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングに譲渡することが決まりました。

 そごう柏店と西武旭川店が9月末に閉店したばかりで、西武八尾店と西武筑波店が来年2月に閉店することが決まっているなかでの発表となり、そごう・西武の苦境が鮮明となったかたちです。

 そごう・西武は09年8月にミレニアムリテイリング、そごう、西武百貨店が合併したことにより誕生しました。同年9月にはロビンソン百貨店を吸収合併しています。これにより百貨店事業の規模は大きくなりました。

 しかし、その後は事業が低迷していきます。11年2月期決算の百貨店事業の売上高は9141億円でした。その後の売上高は低下していき、16年決算では8818億円となっています。

 深刻なのが、本業のもうけを示す営業利益です。11年決算の百貨店事業の営業利益は56億円、12年決算では99億円ありましたが、16年決算では38億円にまで低下しています。そして、16年3~8月期では18億円の赤字となりました。

●衣料分野の低迷

 百貨店事業の中でも特に問題となっているのが「衣料」です。衣料の売上高は約40%を占める一番の稼ぎ頭ですが、年々縮小しています。11年決算では3844億円でしたが、16年決算では3172億円にまで縮小しています。衣料の不振はそごう・西武だけの問題ではありません。百貨店各社が抱えている現象です。

 ファストファッションの台頭を皮切りに、ショッピングモールやアウトレットモールの拡大、ZOZOTOWNなどのファッション通販の充実などにより、購買チャネルが多様化していきました。百貨店で衣料を買う必要性が低下しているといえます。

 百貨店を再生させるためには、衣料の改革も大事ですが、その他の分野の強化が欠かせません。今後は、百貨店における衣料の拡大は望みにくいため、食品や雑貨といった分野を強化して衣料の低迷をカバーしていく必要があります。

 特に食品を強化する場合、地域を絞ることが欠かせません。鮮度が重視される食品は、地域が絞られているほうが品質と効率を高めることができるからです。

 そごう・西武の店舗は首都圏に集中しています。そのため、関西の3店舗をH2Oに譲渡することは理にかなった戦略といえるでしょう。H2Oは関西に基盤を置いているため、両社がWin-Winとなる提携だったのではないでしょうか。

 セブン&アイの不振の原因は、百貨店事業だけではありません。イトーヨーカ堂も、16年2月期は139億円の営業赤字に転落するなど、問題を抱えています。セブン-イレブンは依然として好調ですが、成長は鈍化しています。いつブレーキがかかってもおかしくはありません。セブン&アイは正念場を迎えているといえそうです。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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