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日本のAIビジネス市場は2021年度に5610億円へ - MM総研の調査

山本善之介
4/26(水) 16:08
MM総研は4月25日、2017年3月に実施した日米独3カ国における人工知能(AI)技術のビジネス利用状況の調査結果を発表した。これによると、日本における人工知能の導入率は米独と比べて低いものの、市場規模は2016年度の2220億円から2021年度には5610億円へ拡大するという。

同調査は同社が、人工知能技術のビジネスを導入済または検討している企業を対象に3月2日から16日にかけてインターネット調査により実施したものであり、回答件数は、日本が予備調査8797人・本調査2000人、アメリカが予備調査1071人・本調査500人、ドイツが予備調査1631人・本調査500人。

人工知能のビジネスへの導入率は、日本では導入済が1.8%、導入検討中が17.9%、ドイツでは導入済が4.9%、導入検討中が22.4%、アメリカでは導入済が13.3%、導入検討中が32.9%となった。アメリカで最も人工知能のビジネス利用が進んでいる一方で、日本は他の2カ国に後れを取る結果となった。

日本について業種別の導入率を見ると、金融業が7.8%、情報通信業が6.9%であり、これら2業種が先行して導入している。以下、製造業2.5%、運輸業1.7%、医療・介護分野1.0%と続く。

日本における2016年度のAIビジネス市場は2220億円であり、今後は年率20.4%で成長を続け、2021年度には5610億円に拡大すると見込んでいる。市場区分としては導入期であり、2017年度及び2018年度に実証実験や導入が積極的に進み、市場は拡大するが、2019年度には運用・技術両面での問題が明確となり、市場は一旦縮小すると予測。

ドイツ市場は2016年度の3260億円から年率10.3%で成長し、2021年度には5330億円になるという。市場区分としては導入期であり、2018年度に一旦ピークを迎え、日本同様に2019年度に市場が一時縮小する見込みとなり、3カ国の中では年成長率が最も低いと想定している。アメリカ市場は2016年度の3兆9340億円から年率14.9%で成長し、2021年度には7兆8360億円に拡大し、市場区分としては導入期から成長期への移行期にある。同国は世界市場の約47.4%を占めており、ICTと同様に牽引役を果たすと分析している。

また、同社が日本の主要ベンダーにヒアリングしたところ、普及の阻害要因として、導入または事業遂行者の知識不足、知識不足のトップダウンによる事業開始指示、データの有無の3点が挙がったという。これを受けて同社は、マネジメント層の認知度と投資意欲状況、導入後の問題、提供者側の強みを調査した。

人工知能に投資している企業の中で、マネジメント層(部長クラス以上、社長、会長、経営者)がAI技術やサービスを詳しく知っている割合を3カ国で比較すると、日本が7.7%、ドイツが30.9%、アメリカが49.8%という結果になった。日本では、9割以上の導入企業でマネジメント層が技術を理解しないままAIに投資している状況が浮き彫りになったとしている。

マネジメント層と事業を遂行する現場員との間でコミュニケーションの断絶が起きかねないといえ、マネジメント層が技術やサービスをよく理解した上で導入を判断し、プロジェクトを統制していかなければ、AI技術をビジネスに生かすことは困難だと同社は指摘する。

さらに、導入後の問題をコスト/利用環境/データの所有権/AIへの過度な期待に大きく分けて調査したところ、国ごとに違いが現れたという。日本では「人工知能を利活用する環境が整っていない」が31.3%で最も多く、次いで「保守/運用コストが高い」が28.8%だった。導入したが利用環境が整っておらず、ランニングコストがかさんでいる状況だと分析している。

ドイツでは「想定より人工知能で解決できることが少なかった」(24.2%)、「保守/運用コストが高い」(22.0%)が上位を占め、過度な期待で人工知能を導入し、保守運用コストがかさんでいる状況にあるという。アメリカでも「保守/運用コストが高い」(33.6%)、「導入効果よりサービス利用コストが高い」(36.6%)、「想定より人工知能で解決できることが少なかった」(28.1%)と、過度な期待からAIを導入した結果、コスト問題に直面している。

同社は、AIの競争力の源泉として、データ有無/人材(データサイエンティストやプログラマ)/業界の業務運用ノウハウ(Operation Technology、OT)の3項目を重視していると指摘。

これら3項目について各国の人工知能提供企業に強みを聞いたところ、日本が米独と比較して強みとして持っているのはデータ保有のみで、人材に関しては最下位、OTはドイツに次ぐ2位となった。この結果から、重点を置くべき課題としては人材とOT保有が浮かび挙がったという。

今後、市場の成長・成熟期で日本企業が戦っていくためには、人工知能人材として定義されるデータ・サイエンティストやプログラマをいかに保有していくか(教育/採用)、また、課題解決のノウハウと人工知能を組み合わせてどのようにビジネスの課題を解いていくのかが問われると、同社は指摘している。

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