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ビジネスジャーナル

『あなたのことはそれほど』不倫に微塵の後ろめたさも感じない「女性の本音」解放

4/26(水) 06:16
TBSのHPより

 前クールの『カルテット』、その前の『逃げるは恥だが役に立つ』と2クール連続で話題作が生まれた、TBSの火曜夜10時台の連続テレビドラマ枠。その今クール作『あなたのことはそれほど』の第1話が18日に放送され、平均視聴率が11.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と2桁スタートの好発進を遂げ、25日には第2話が放送された。

 眼科クリニックで医療事務として働く美都(波瑠)は、インテリアデザイン会社の総務部で働く冴えないサラリーマン、渡辺涼太(東出昌大)と結婚した直後、中学生時代の初恋の相手・有島光軌(鈴木伸之)と偶然にも再会。その日のうちにホテルへ行き関係を持った2人は、数日後に再びデートで戯れ、温泉旅行に行く約束を交わす。そして旅行当日夜、風呂から上がった2人は床に敷かれた布団の上でキスを交わそうとするが、有島の携帯電話が鳴る。すると電話を切った有島は美都に突然、「悪い、今からオレ、帰らなきゃ。今、電話で子どもが生まれた。奥さんが出産で里帰りしてて」と、実は既婚者だったと告白をするところまでが放送された。

 第2話で注目すべきは、劇中内に散りばめられた「美都=不倫をする女」の本音だろう。

 たとえば美都は、翌日に有島とデートに行くため、友人と飲みに行くと涼太に嘘をつく場面で、こう心の中でつぶやき、涼太を責める。

「初恋が嘘で淀んだ気がする。この気持ちは、私の中で一番キレイなんだけど……」

 デート当日、ベッドの上で有島に抱かれながら言う。

「なんで、結婚しちゃったんだろう。私、結婚してるんだった。ごめんね、有島クン。今はまだ嘘つかせて」

 そしてデートを満喫した後に涼太の待つ家に帰宅すると、再び心の中で面倒臭そうに本音を吐露する。

「あ、こっちも嘘つかなきゃだ。いっそ亮ちゃんが私のこと嫌いになってくれたら、いろいろ楽なんだけどなー」

●「世界で一番、有島クンが好き」

 さらに美都の“自分勝手”な独白は止まらない。美都は有島と温泉旅行に行くのを隠すため、ついうっかり涼太に親友の飯田香子(大政絢)と旅行に行くと嘘をついてしまい、 “口裏合わせ”のお願いをするために香子に会い、こう本音をぶちまける。

「結婚ってさ、本当に運命の人としないとダメだね。有島クンに悪くてさ」

 香子は「なんでそっち? 亮太さんは? かわいそうじゃん」と怒ると、美都は表情を変えず、こう香子を諭す。

「あっ、うん、そっちも。わかってるけど。結婚するタイミングってさ、“賭け”だね。世の中いろいろ、ややこしいこと起こるの、わかる気がする。だって、ずっと好きでずっと会いたかったんだよ。それがたまたま結婚した後で再会してさ、もし同じことになったら、 バカでもいいって、なるよ。香子だって」

 腹を立てた香子は、美都を残して帰る。

いよいよ温泉旅行当日、「ただただ、この運命を逃したくないだけだから」と自分に言い聞かせる美都は、有島と露天風呂を満喫した後、有島と手をつなぎ廊下を歩きながら、「なんで今、こんな幸せが降ってきたんだろう。おかげで私、悪い人になっちゃったよ」と一瞬自分を客観視する。

 しかし、それもつかの間。有島から実は自分が既婚者で、まさに今、子どもが生まれたと聞かされても、自信ありげに有島に向かって語りかける。

「大丈夫、私も結婚してるから。だから有島クンに無茶なこと言わないから、安心して」

 そして、部屋を出て行く有島を見つめながら言う。

「運命じゃ、なかった。けど、どうしよう、世界で一番、有島クンが好き」

●女性の本音

 不倫にハマっていく美都は、夫である涼太にではなく、有島に対し「申し訳ない」と謝る。毎日のように亮太がつくる夕食を食べながら。不倫デートのために夫に嘘をつきながら、自分を責めるどころか、「初恋が嘘で淀んだ気がする」と嘘をつかせた夫を責め、夫が自分のことを嫌いになってくれたら「楽なんだけどなー」と妄想する。挙げ句には、大した好きでもない男性と結婚した直後に本当に好きな人に出会ってしまった“運命”を責め、微塵も罪悪感を抱かない。

 その一方、下手な嘘を重ねて亮太に不倫はバレバレ、挙句には親友まで失おうとしているにもかかわらず、有島を「大丈夫、私も結婚してるから」と説得し、不倫を続行しようとするほどに、完全に自分を見失う。

 こんな美都の振る舞い、そして思考回路に対し、腹立たしい気持ちでいっぱいになった男性視聴者もいるかもしれない。だが、少なくとも私の知る限り、不倫をする女性の大半は、美都と同じ思考だといえる。男性とは真逆に、女性の多くは、自身が不倫をすることにまったく後ろめたさも罪悪感も抱かない。なぜなら、女性にとって夫、もしくは交際相手以外の男性を好きになってしまうことは、「仕方のないこと」だからだ。女性は男性よりも、自分を正当化することにためらいを感じない。そう、美都が悪びれもせずに放った数多くの心の声は、まさに女性の本音そのものだ。

 不倫に微塵の後ろめたさも感じない女性の本音を“解放”したという意味で、『あなたのことはそれほど』は稀有のドラマといえよう。
(文=米倉奈津子/ライター)

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