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ペルー大統領選、「四度目の正直」でケイコ・フジモリ氏の勝利が確実に 早期訪日に意欲も、待ち受ける“イバラの道”

6/27(土) 12:00

・ペルー大統領選の決選投票、右派のフジモリ氏が初当選確実

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・自由市場重視の新政権へ市場の期待が高まるも、過度な楽観は禁物

決選投票は「四度目の正直」でフジモリ氏の勝利が確実に

南米ペルーで6月7日に実施された大統領選挙の決選投票は、右派のケイコ・フジモリ氏と左派のロベルト・サンチェス氏による一騎打ちとなった。選挙戦では、治安悪化への対応や経済格差の是正が主な争点となった。一方で、右派と左派の対決となったことから、両候補は対照的な政策を掲げた。こうしたなか、選挙戦の最終盤にかけて両候補の支持率は拮抗した。このため、決選投票の得票率が僅差となった2021年の前回大統領選(カスティジョ氏(50.13%)、フジモリ氏(49.87%))と同様の展開となることが見込まれた。

投票締め切り直後に公表された出口調査では、サンチェス氏の得票率が50.3%と、フジモリ氏(49.7%)をわずかにリードした。選挙管理当局が公表した開票速報でも、開票率94.94%時点でサンチェス氏の得票率が50.102%、フジモリ氏は49.898%となった。しかし、その後に開票結果に関する異議申し立てが行われたほか、在外投票の到着遅れも重なり、票の点検と再集計が行われた。その結果、開票率99.98%時点の得票率はフジモリ氏が50.12%、サンチェス氏が49.88%となった。残る未集計票の状況を踏まえると、サンチェス氏がフジモリ氏を逆転することは困難になり、フジモリ氏の勝利が確実となった。フジモリ氏は過去3度(2011年、2016年、2021年)大統領選に出馬し、いずれも決選投票の末に敗れていたが、「四度目の正直」で初当選を果たした。

サンチェス氏陣営は開票結果への異議申し立てを行うとともに、その受け入れを拒否する考えを示した。しかし、選挙審議会は申し立てを却下する判断を下している。現時点においても結果は正式に確定していないものの、新大統領の就任日は7月28日に予定されており、選挙管理当局は7月中旬までに結果を確定させる予定である。フジモリ氏の勝利が確実となったことを受けて、同氏は政権発足に当たって「真っ二つに分断されたペルーの融和を目指す」と表明しており、新政権発足に向けた準備が本格化すると見込まれる。

金融市場は期待も、議会運営の困難さを勘案すれば過度な期待は禁物

日本においては、日系人のルーツを持つフジモリ氏の勝利が確実となったことを受けて、同国との関係深化を期待する向きが強まることが予想される。フジモリ氏も日系人というアイデンティティーを理由に、対日関係の強化に取り組むべく早期の訪日に意欲を示している。さらに、中南米ではここ数年、右派政権が相次いで誕生しており、フジモリ氏はこれらの国々との連携強化も図る方針を示した。また、トランプ米政権との連携深化による投資の呼び込みに加え、自由市場を軸とする経済運営を通じた安定路線を維持する考えを示した。金融市場ではペルーの通貨、ソル相場が底堅さを見せており、こうした政策運営への期待もみられる。一方、同氏が選挙公約として、治安改善を目的とする警察の強化や国軍の投入も辞さない方針を示すとともに、不法移民の国外退去といった強硬姿勢を掲げたことには反発が少なくない。

同国では、2024年の憲法改正により二院制の復活が決定しており、大統領選の第1回投票と同時に議会選挙が実施された。下院(総議席数130)においては、フジモリ氏が率いるFP(人民勢力党)は41議席と第1党となったものの、単独では過半数に遠く及ばない。そのうえ、他の右派勢力を合わせても多数派を形成することができず、新政権による安定した議会運営の実現には、中道勢力の取り込みが不可欠となる。上院(総議席数60)でも、FPは22議席と半数を下回るため、中道勢力がキャスティングボートを握る存在となる。議会構成の複雑さは大統領と議会のけん制関係を強めており、2018年以降に8人もの大統領が入れ替わる一因になってきたが、今後もこうした構図が続く可能性は高い。

中東情勢の緊迫化を背景に鉱物資源のサプライチェーンの多様化が世界的な課題となるなか、同国は、銅、鉛、亜鉛、銀、金などの鉱業部門が産業の中核を担うほか、原油や天然ガスも産出するため、重要な供給源となることが期待される。こうしたなか、フジモリ氏が中国やロシアなど新興国で構成されるBRICSに加盟する方針を示したサンチェス氏を破ったことの意義は小さくない。しかし、新政権は議会と対立する可能性もあり、過度な期待は禁物であろう。

(※情報提供、記事執筆:第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

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