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福岡県田川市の村上卓哉市長(54歳)が複数回にわたり、親しい関係にある部下の女性を公務出張中の深夜に、ホテルの自室に招き入れていたことが「週刊現代」の取材でわかった。
村上氏は2月13日の記者の電話取材に対し、事実関係を認め、「脇が甘かった」などと反省を述べた。ホテル代を含む出張旅費は公費負担なだけに、市民からは「公私混同」や「公費私物化」との批判が高まりそうだ。
村上氏は「ガラス張りの市政」を掲げ、2023年の田川市長選で初当選。2025年4月に開業予定の周辺8市町村の広域ごみ処理施設の情報開示を巡り、大任町の永原譲二町長(71歳)と激しく対立し、全国的な注目を集めた。地元記者が語る。
「村上市長は永原氏とのやりとりで『圧力をかけられた』と刑事告訴し、永原氏は『虚偽の告訴だ』と逆告訴するなど、泥沼の展開でした。ゴミ処理施設の稼働に向け、他の7市町村では昨年9月に、共同運用に必要な規約改正議案を可決しましたが、田川市だけは“市長派”の議員たちが『情報公開が足りない』として反対した。
全市町村の足並みが揃わなければ、予定通りの稼働ができず、一時は市民の間で『ゴミが捨てられなくなる』という不安がよぎった。すったもんだの挙げ句、田川市でも昨年11月に可決されました」
ただ、村上氏について近しい関係者からはこんな声も出ていた。
「改革派風ですが、裏では緊張感のない振る舞いが散見されます。東京への公務出張で、お気に入りの50代の女性職員・Aさんを複数回にわたり連れて行き、公私混同だと顰蹙を買っている。
市長にとって、2歳年上のAさんは昔、地元のマドンナ的存在で、ずっと憧れていたとも聞いた。市長には妻子がおられますが、Aさんとのあまりの距離感の近さに、クビを傾ける人もいます」(村上氏周辺)
その密接ぶりは、人事からも読み取れる。村上氏の市長就任後、それまで外部出向していたAさんが呼び戻され、秘書広報係長に就任した。「翌年には、人事秘書課が新設され、Aさんは課長補佐兼秘書係長に昇進した」(前出・村上氏周辺)という。
そんな2人の関係が露見したのが、今年1月の東京出張だった。村上氏は1月28日に、全国市長会出席のために東京へ公務出張。同行したのはAさんだ。
村上氏は21時頃に、常宿としている六本木のビジネスホテル「X」に到着。大浴場で汗を流すと、浴衣姿でコンビニに行き、アイスやお菓子などを買った。部屋に戻ったのは22時すぎだった。
その10分後、市長の部屋の前にやってきたのは浴衣姿のAさんだ。何かを警戒するように周囲を見回すと、すっと室内へ消えていく。Aさんが部屋の外に出てきて、自室に戻ったのは、日付をまたいだ深夜1時頃だった。
これだけではない。村上氏とAさんの密接ぶりは以前から目撃されていた。2024年11月13日夜、村上市長はまたもやホテル・Xにいた。やはり市長会のための公務出張で、同行者はAさんだった。
夕方にホテルにチェックインすると、タクシーで赤坂へ。会食終えると、タクシーで六本木に戻り、0時頃にホテルに到着。そして、エレベーターにのると、2人で同じ部屋に入っていった。Aさんが部屋から出てきたのは、これまた深夜1時頃であった。
さらには地元でも――。1月18日16時半時頃、田川市の隣町の香春町役場の駐車場に、マスク姿の村上氏が運転するシルバーの軽自動車が現われた。車が停まると、中から女性が出てきた。Aさんである。
「Aさんは車を降りると、村上氏に『バイバイ!』と、手を振った後、近くに停めていた黒い乗用車に乗り込み、自分で運転して帰路につきました。実は、2人は午前10時頃にこの駐車場で合流し、夕方までどこかへ出かけていた。その間、Aさんの車は駐車場に置きっぱなしでした。なぜ隣町まできたのかとは思いましたが……」(地元住民)
この日は休日で、村上氏には夕方まで公務は入っていなかった。一緒につかの間の休みを楽しんだのだろうか。
あまりに親密な関係について、当事者はどう答えるのか。2月13日の昼すぎに、村上氏本人を電話で直撃した。記者が「Aさんのことで」と話しはじめると、「スーッ」と息を飲む音が聞こえた。
――1月28日の出張時、市長の部屋にAさんが?
「……。まぁ、それはですね、ちょっとまあ、彼女、個人的なこともあって、今ちょっと申し上げられないこともあります」
動揺しているのか、電話口からは、時折「ハァ、ハァ」と激しい息づかいが漏れてくる。
――11月の出張時にも同室で過ごされていた。
「あ~そうねぇ。ま、外で食事をしてですね、戻ってきて、あらためてこうやって、部屋飲みみたいなこぅ……。確かに、疑念を抱かれるというかね。そういうところは確かにあるな、と」
――駐車場で待ち合わせて、軽自動車でお出かけも?
「まあ、おっしゃるように、そこで待ち合わせをしてね。幼なじみ的なところもあるんでね。もう家もすぐ近所でね。もともとの実家がね」
――奥様も承知?
「いやいや、伝えたりはしていないですよ」
――大丈夫?
「あ~ぁ。おそらく……。(Aさんは)中学の先輩でもありますし」
そうは語るものの、電話の向こうからは、荒い鼻息が聞こえてくる。
――奥様以外の女性と会うのはAさんだけ?
「あ~、そうですねえ。実際その、そんなにこう、私も表現が正しいかどうかわからないのですが、暇じゃないという」
――Aさんに好意は?
「そういう好意というのとはまた違うんですよね、はい。もちろん、あれですよ、なんでしょうね。好意がないから嫌いとかではないんですよ」
――疑念を抱かれる関係では?
「いやぁ私としてはね、そういうことではないということですので。ただ、そういう行動がね、まわりの方がどう評価するかということになればですね……」
――疑われてしまう?
「ええ、ええ、確かにそのよく表現されるところの脇が甘い……。甘かったのかなというところは確かに感じてはおります」
――公私混同や公費私物化との指摘もある。出張費返還などのけじめは?
「まあ、そういったことは頭には浮かんでおりますけども、今の段階でただちに私がこうしますよというのは控えたい」
歯切れが悪くなりながらも、約20分にわたり、取材に応じた村上氏。ところが、改めて田川市広報課に質問状を送ると、2月14日に代理人弁護士名義で「通知書」を編集部に送付してきた。
それは、「永原町長に圧力をかけられた」と再三にわたり被害を訴えてきた村上氏には、ふさわしいとは言い難い内容だった。
〈A氏は、田川市長より2歳年上(現在 56歳)の田川市長の幼馴染にすぎない(中略)A氏は田川市長と小学校中学校高校も同じです。このような関係から、A氏は、田川市長が幼いころから非常に信頼している幼馴染〉
〈田川市長夫人も、A氏が田川市長の幼馴染であるということは十分に認識しており、東京出張の際に同一のホテルに宿泊することなども了解しており全く問題にしておりません〉
そう、ムキになって主張するのだった。そして――。
〈刑事・民事両面において田川市長及びA氏に対する名誉棄損行為に該当することとなります。よって、貴社が「貴社書面」に記載された内容の記事を掲載された場合には、田川市長は刑事・民事両面において速やかに貴社に対する法的措置を執りますので、重々ご賢察ください〉
〈「貴社書面」によって、田川市長だけでなく私人であるA氏の名誉も著しく棄損されておりますので、貴社が記事を掲載された場合には、その点も含め法的措置を執ることとなります〉
記者の直撃時、一連の行動について事実関係を認め、市民から疑念を抱かれるものだったと振り返り、「脇が甘かった」と漏らした村上氏。さらには、公費私物化疑惑であることから、出張費の返還の可能性にも言及した。
しかし、〈通知書〉では一転し、反省の言葉を一切口にすることのないまま、再三にわたって〈法的措置〉に言及したのだった。
とはいえ、一連の「公費私物化」および「公私混同」疑惑について、村上氏がメディアに対して“恫喝的”とも捉えかねられない言動で、“圧力”をかけるのは、お門違いもいいところだろう。問われているのは村上氏自身の市長としての資質であり、果たすべきは自らの説明責任とケジメだ。
村上氏はこれまでガラス張りの市政を政治信条に掲げてきた。いまさら「ガラス張りにされたくない部分もある」というのは通用しない。
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