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現代ビジネス

3年にわたるコロナ禍「ゲーム依存」が、子供たちの脳を破壊した!衝撃の事実を明かす

11/5(土) 05:50
新型コロナとの共存の時代に突入したいま、社会が目をそらしている事実がある。深刻なネット依存とゲーム依存で、子供たちが明らかにおかしくなっていることだ。ノンフィクション作家・石井光太が明かす。

どれだけ危ないか、知っていますか

コロナ禍によって、子供たちの間でネット・ゲーム依存が急増した。

2017年の厚生労働省の調査では、国内の中高生だけで7人に1人に当たる93万人にゲーム依存の疑いがあるとされていた。

これが、2021年のKDDIなどの調査では、コロナ禍によって大人も含めて、ネット依存が1・5倍、ゲーム依存が1・6倍に増加したとされている。

そう考えると、現代の日本でネット・ゲーム依存がどれほど深刻かがわかるだろう。

目を向けなければならないのは、統計的な数値ではなく、子供たちがなぜ依存になり、何を奪われているのかということだ。

『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)では、その闇を徹底的に掘り起こした。新型コロナとの共存の時代に突入した今だからこそ、子供たちが抱えている問題の深層に光を当てたい。

Photo by GettyImagesPhoto by GettyImages

社会復帰したくてもできない

ネット・ゲーム依存は、女子がなりやりやすいSNSなどのネット依存、男子がなりやすいゲーム依存に大別できる。本稿ではわかりやすく「ゲーム依存」とまとめたい。

子供がゲーム依存になった時、大人の中には「何年でも温かく見守るべきだ」と言う人がいる。だが、これは決して正しい選択ではない。支援団体の職員はこう述べる。

「大人の依存症と子供の依存症は違うんです。大人が30歳~40歳までアルコール依存になっても、30歳までの成功体験や経験をもとに社会復帰できます。しかし、10歳~20歳の間にゲーム依存になった子は、何も持たないまま社会人になることを余儀なくされる。そうなると本人が社会復帰したくてもできなくなるのです」

この言葉の通り、ゲーム依存は若い層がなる傾向があるため、社会復帰が困難になるのだ。

ゲーム依存の概念は広まったばかりであることから、多くの大人は「ゲーム好き」と「ゲーム依存」をどこで分けていいのかわかっていない。2つを分ける基準は、ゲームにのめり込むことによって、日常生活に支障が生じているかどうかだ。

「ゲームにのめり込んで学校や習い事に行かなくなる」「遅刻や欠席が目立つようになる」「課金(SNSの場合は投げ銭)をしてしまう」「ゲームを禁止されたことで暴力を振るう」「健康を害すほどつづける」……。

遊んでいる時間というより、遊びによって日常生活が脅かされた時に依存とされるのだ。

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大人の側が考えなければならないのは、なぜ、子供が依存と呼ばれる状態にまで陥るのかということだ。

よく見られるのが、子供たちが抱えている困難が切っ掛けになっているケースだ。子供たちが、家庭、学校、習い事、人間関係といった問題を抱え、そこから逃げるために二次元の世界に吸い込まれるのだ。

拙著で用いた実際の事例を紹介しよう。

無制限に課金を続けた少年

K君の家庭は、ギャンブル依存とアルコール依存の父親によって幼い頃から荒んでいた。父親からの暴力に、母親や子供たちが日常的にさらされていたのだ。

家庭環境が悪かったことで、K君は学校に居場所を見つけようとして、勉強や野球に一心不乱に取り組んだ。周りから優秀な生徒として認めてもらうことで、自分のアイデンティティを確立しようとしたのである。

だが、地元の進学校に進んだことで、歯車がかみ合わなくなる。優秀な生徒が多かったことから、K君は成績が上がらず、野球部でもレギュラーをつかめなかった。それで自信を失っていたところに、母親の再婚が重なり、気力を失った。

ゲーム依存になったのは、それからしばらくしてからだった。カードをつかってほぼ無制限に課金をし、気がついたら多額の借金をしていた。何度も親に注意されたが、彼はゲームも課金も止めることができなかった。

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K君はこの時の気持ちを次のように述べている。

「現実で起きているあらゆることが嫌で嫌でたまらなかった。考えたくなかった。だからハマったんだと思います。それをやっている間は、現実世界の出来事を考えなくて済んだ。虐待のことも、母親の再婚のことも、あらゆることから目をそらすことができたんです。ただただゲームの画面に釘付けになっていたという感じです」

彼の場合は、家庭と学校で起きていた現実に向き合うことが耐えきれなかった。そのために、ゲームという二次元の世界に逃げ込んだのだ。

常にジェットコースターに乗っているようなもの

ゲームの世界には、激しいBGM、コントローラ―の振動、ボイスチャットから聞こえる指示や叫び声など、プライヤーを飲み込ませる様々な仕組みが溢れている。ジェットコースターに乗っているようなものだ。

二次元の世界でK君は脳からドーパミンを放出させられつづけることで、いわば「思考停止」の状態になるのだ。それはつらい現実からの逃避と言い換えることもできる。

ゲームに限らず、依存症は「孤立の病」と呼ばれることがある。心に開いた穴を、何かに依存することによって埋めようとするのだ。

これは子供のゲーム依存も同じで、子供たちは現実逃避の手段の1つとしてゲームにのめり込む傾向がある。

逆に言えば、この場合は、現実の問題を解決することが依存からの脱却に欠かせない。ゲームやスマホを取り上げても、なかなか改善しないのは、そのためだ。

しかし、ゲームは時として人の脳機能を破壊するだけでなく、死の寸前まで追いつめることがある。依存に陥った子供たちは、脳から、日常から、何を失われるのだろう。記事の後編ではそれを具体的に考えてみたい。

石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)は好評発売中

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