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地下鉄のジャンクフード広告を取り去ったところ肥満が減少

パルモ
8/9(火) 19:00

ジャンクフード広告と肥満
 NHS(英国民保健サービス)の調査によると、イギリスはヨーロッパの中で最も肥満率が高い国なのだそうだ。

 イギリスでは、揚げ物系のフィッシュ&チップスのようなファストフードも大人気だ。そのため近年では、大人だけに限らず子供の肥満も問題視されているという深刻な事態に陥っている。

 そこで、肥満への取り組みを開始しようとロンドン交通局が先頭を切った。

 ロンドン地下鉄の駅構内の至る場所には、様々な広告が掲載されているが、そこからジャンクフードの広告を撤去し、一切の掲載を禁じたところ、イギリス人の肥満度が減少するという効果があったという。

【他の記事を見る】BMI(肥満度)はそもそも無意味?同じ数値でも体型に差があることが判明(米研究)

イギリスで問題となっている肥満

 イングランド公衆衛生局は、肥満が原因で毎年3万人以上が死亡しており、平均して9年の寿命を縮めていると推測している。

 2015年の時点で、イギリス成人のほぼ3分の2が太り過ぎと分類された事実があるほど、イギリスでは現在大人も子供も深刻な肥満問題に直面しており、保健当局にとって大きな懸念事項となっているのだ。

 このままでは、予防可能な肥満による死が、喫煙が原因で起こる死を追い抜く可能性があるとまで考えられている。
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pixabay

地下鉄駅構内でのジャンクフード広告掲載を禁止に

 この差し迫った問題に取り組むため、ロンドン交通局(TfL)ネットワークは2019年にジャンクフードの広告に制限を設けた。

 通勤客が脂肪、塩分、高糖分(HFSS)を多く含むスナック食品の誘惑に晒されるのを制限することが狙いだ。
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pixabay

肥満の症例が10万件近く減少する結果に

 それから3年。サウス・ヨークシャー州のシェフィールド大学とロンドン衛生熱帯医学大学院(以下LSHTM)の研究者らは、広告を禁止した効果を図解した。

 すると、肥満の症例が94867件と、10万件近く減少するという効果をもたらしたことが判明した。

 つまりこれは、それだけ国民の健康を救った可能性があり、NHS(英国民保健サービス)が2億ポンド(約326億円)の節約に成功したことを意味しているという。

 ちなみに、イギリス政府の統計によると、NHS は 2014と2015 年に肥満関連の病気に 61 億ポンド(約9950億円)を費やしたそうだ。

 この研究は、ロンドンおよび広告の制限が行われていないイングランド北部の1970人を対象に調査された。

 3年間で広告規制によって、人々の毎週の食料品の選択が不健康な買い物を避ける結果となり、1000Kcalの減少につながったと推定されている。

 また、2875例の糖尿病の予防または現状維持と、1915例の心血管疾患の減少の可能性をもたらしたことが研究で報告された。
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pixabay

 シェフィールド大学のクロエ・トーマス博士は、次のように述べている。
私たちが購入するもの、特に私たちが食べる食品に影響を与えるのに、広告がどれほど説得力を持ち、強力であるかは周知の事実です。

肥満と肥満によって悪化する病気の予防における政策の重要な利点を実証することで、国家規模での展開につながることを願っています。

肥満を減らすには他の対策も必要

 研究者らの分析では、公共交通機関を定期的に利用する人々の間で、より顕著な効果が観察されており、実際に広告を目にするかしないかでその違いを生みだしたと推測しているが、肥満レベルを積極的に減らすには他の戦略も必要になると強調している。

 LSHTM の スティーブ・クミンズ教授は、「全国規模で肥満に取り組むために、国の規制を必要とせずとも、地方自治体が今すぐ政策を提供すべき」と話している。

 というのも、イギリスでは太り過ぎや肥満の子供の数が着実に増加しており、先月の調査では健康的な体重の子供を含め、子供の4分の1以上がダイエットをしていることが明らかになっているからだ。

 なお、今回の研究はInternational Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activityに掲載された。

References:Junk food advertising ban on public transport linked to a reduction in obesity - Nursing in PracticeNursing in Practice/ written by Scarlet / edited by / parumo

・あわせて読みたい→肥満と脳に関連性が?肥満の人が不健康な食事に手を出してしまうのは脳の灰白質が少ないことが原因(カナダ研究)

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