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松村沙友理と星野みなみ、斉藤優里PVに見る「コミュニケーションの機微」【乃木坂46「個人PVという実験場」第9回 2/3】

香月孝史
7/14(火) 18:02
※乃木坂46星野みなみ/画像は本サイトの記事(https://post.exweb.jp/articles/-/70918)より抜粋

乃木坂46「個人PVという実験場」

第9回 山田篤宏監督作品 2/3

松村沙友理星野みなみがシンクロするドラマ

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 2014年、当時研究生だった2期メンバーを主演に迎えて山田篤宏が描いたショートドラマ「a trainee’s fugue」は、日を同じくして校舎に居合わせた8人(見えざる主役としての矢田里沙子を含めれば9人)を3つの視点から捉え、各エピソード同士を相互に関連させるものだった(https://exweb.jp/articles/-/80897)。個人PVという、単独主演を原則とする企画においてこうした複数主演・複数視点の連作が生まれ得たのは、「研究生」としての2期メンバーたちがまだ個別の個人PV枠を与えられず、ひとつのまとまりとして扱われていたという過渡期的な条件があったためだ。

 その2期生たちから「研究生」という肩書が外れ、全員が正規メンバーとして初めて制作に参加したシングルが2015年の『太陽ノック』だった。この時期、乃木坂46の個人PVでは、メンバーを二人一組にしてショートムービーを制作する「ペアPV」が企画されていた。必然的に、メンバー間に生まれる関係性や複数視点のドラマづくりといった、「a trainee’s fugue」をはじめ山田が個人PVにしばしば採り入れるようなスタイルが、はからずも企画内のいずれの作品にも大なり小なり埋め込まれることになる。こうした前提のもと、星野みなみと松村沙友理のペアPVを担当した山田は、同一シチュエーションで同一の主張をする「事件の容疑者」役を二人にあてる。

https://www.youtube.com/watch?v=DtKmOSlQOD4
(※星野みなみ&松村沙友理ペアPV「どちらかが“彼”を殺した」予告編)

 ルームシェアをする部屋で発見された死体の容疑者として、一人ずつ取り調べを受けているのは「星野沙友理」と「松村みなみ」の二人。単独犯とみられる事件について、星野と松村の二人それぞれに否認をするのではなく、むしろ「自分が犯人である」ことをあっけらかんと、積極的に主張し続ける――。

 同一の取調室のセットで撮影された二人の映像が二分割した画面の左右に映され、質問や応答のタイミングをシンクロさせながらドラマがスタートする。しかしほどなくして、別々に取り調べを受けているはずの星野と松村が双方向に会話してみせ、あるいは互いにシンクロして進行していることを前提にしたような間合いで言葉を紡ぐ。

 この作品では、二人のメンバーの振る舞いや主張をシンクロさせることで、一筋縄では理解しがたい一風変わったミステリー調の作品に仕組んでみせている。複数の映像の時制をときに同期させ、あるいはそれらの映像同士を相互に連関させるような仕方は、「a trainee’s fugue」や「山下美月の二重奏」とも相通じる、山田の監督作品にしばしばうかがえるスタイルといえる。

■二者間のコミュニケーションの機微を描く

 他方、長らく乃木坂46のコンテンツに関わってきた山田は、常にこうしたトリック性ばかりをよりどころにしてきたわけではない。斉藤優里主演の個人PV「A Girls’ Talk」(7枚目シングル『バレッタ』収録)ではカフェで会話をする友人同士のやりとりから、互いの間に生まれかけたズレとその修復の瞬間とをささやかに描く。

https://www.youtube.com/watch?v=uk1Z-AplNRo
(※斉藤優里個人PV「A Girls’ Talk」予告編)

 現実世界の自身に近い「アイドルとして活動する」役柄の斉藤を主人公に、彼女が友人と久しぶりにカフェで再会する一幕が上演される。幼なじみ同士の気心の知れた会話のうちに、互いの立場の変化からくる物理的、心理的距離が静かにあらわになっていく。

 同時に、アイドルという特異な世界に生きることで、友人たちとの気軽な関わり合いさえままならなくなってゆく難しさもかすかに映し出されている点も、このショートドラマにおいて見逃せない。そうした要素が、あくまで起伏の少ない会話のうちに挿入されてゆく。

 先週~先々週にみてきた山田の作品群、そして星野みなみ&松村沙友理の「どちらかが“彼”を殺した」では、複数の映像を巧みに関連づけながら登場人物の関係の妙を描く山田の手法が際立っていた。ただしまた、それらに比べれば素朴でシンプルな道具立てによって作られた斉藤優里の「A Girls’ Talk」をみるとき、山田篤宏がそもそも、二者間のコミュニケーションの機微を描くこと自体に冴えを見せる作家であることがわかる。
 

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