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Z世代が切り拓く「セクシー」の新定義、キーワードは「自分らしい快適さ」

橋本 沙織
9/25(水) 09:16

「セクシー」と聞いて連想されるイメージは何だろう。女性なら大きな胸やスラリとした脚、男性なら筋肉の引き締まった身体や落ち着いた声などを思い浮かべる人も多いかもしれない。

ミレ二アル世代である筆者も、これまでこのテーマに大きな疑問を抱かず、赤いリップやハイヒールなどを女性らしいセクシーさの象徴だと認識してきた。しかしふと立ち止まってみると、そのセクシーとは「一体誰のためだろう」と感じる瞬間が多々あることに気づく。

今日、これまで当たり前とされてきた「性に由来する魅力」や「女性/男性らしさ」に関する議論が全世界で活発になっていることはご存知の通りだろう。そして、この風潮が加速している背景にあるのが、1995年から2015年の間に生まれたZ世代の存在だと言われている。

本稿では昨年から今年にかけて同世代の心を大きく掴んだアメリカのブランドやキャンペーンとその成功の理由、さらに彼ら彼女らの根幹にある思想とセクシーの新定義について考察する。

「剃るかどうかはあなたの自由」剃刀メーカーのメッセージ

ニューヨーク発の剃刀ブランド「Billie」が2018年に行った2つのキャンペーンを紹介したい。

まず一つ目は「Red, White, and You Do You」と命名されたショートビデオだ。内容はビーチにいる水着の女性たちを写したものだが、注目すべきは彼女たちの体毛で、ある女性はビキニラインからアンダーヘアを盛大にはみ出させ、また気持ちよさそうに横たわる別の女性は、脇から黒々とした腋毛を覗かせている。


Red, White, and You Do You

本ムービー公開後、Billieが炎上したであろうことは想像に容易い。SNSには「非常識だ」「不衛生」「気持ち悪い」などの否定的なコメントが散見された。

しかしそれ以上に「女性が体毛をどうするかは個人の自由で、社会的な義務ではない」という旨のコメントが多く溢れ、同社の公式インスタグラムページにも「この考え方に賛同する!何より大切なのは水着を着る私たちがいかに心地よくいられるかということ」というコメントが寄せられた。

こうした声は、これまで女性のムダ毛処理は完璧にして当たり前だという無言の圧力に対して疑問を抱く女性たちの、素直な気持ちだろう。

また、もう一つ。男性用の剃刀の広告は切れ味を証明するかのごとく、髭と剃られたエリアの両方の描写があるものが多い。一方で女性用の剃刀の広告のほとんどが、きれいに剃毛されたあとの滑らかな肌を写したものばかり。

この、女性の体毛を公開することがタブーとされている風潮に疑問を投げかけるのが、同社が2018年に行った別のキャンペーン「Project Body Hair」だ。ムービーに登場するのは「そりゃ女性だって毛くらい生えるわ!」と言い放ち、自らの腋毛、脚の毛、さらには一本眉までを誇しげにカメラに向ける女性たち。


「Project Body Hair」

本キャンペーンの目的として、同社の共同創始者であるジョルジーナ・グーレイ氏は「女性用剃刀メーカーのこれまでの広告には違和感を感じていた。女性の身体に対するステレオタイプやタブーをなくすためにはまず我々が変わるべきだと感じた」とRefinery29に語った。

さらに、インターネット上にある女性の写真はどれも完璧な剃毛を施したものばかりであることから、世間の女性に対してのイメージがより自然な姿に近いものにするため、同社は画像ストックサイトの「Unsplash」に同キャンペーンの写真を無料で寄付をした。またこの思想に共感した女性がインターネット上で#projectbodyhairのハッシュタグを添えて、体毛が写ったセルフィーを公開している。

これらのBillieのキャンペーンは、男女ともに体毛がありながら、女性のそれはタブーとされている風潮に一石を投じた。同社が発した「体毛を処理するかは個人の自由で、ありのままの姿でいてもよいのだ」というメッセージは多くの女性を勇気づけたに違いない。

Z世代はニキビも隠さない。身体の悩みはチャームポイントに昇華

これまでティーンエイジャーにとってニキビは大きな悩みの種だった。このことに関しては、少年少女時代を経てきたほぼ全ての大人が認識しているはずだ。しかし、今Z世代の間では身体の悩みと向き合う際の新しい考え方が生まれている。

今、アメリカのティーンに大きな支持を得るのが、同国の美容ブランド「Starface」が発売した「Hydro-Stars」という星型をしたニキビの上に貼るシールだ。”ニキビを隠すのでなく、デコる”という逆の発想をもとに作られたこのシールは素材もヴィーガン、オイルフリーで開発生産段階で動物実験を行わないクルエルティ・フリーと消費者や環境に配慮したものとなっている。


Starface

同社のサイトでは「ニキビができるたびにストレスを抱えていたけど、Hydro-Starsを手に入れてニキビが憂鬱じゃなくなった」や「普段化粧品には無頓着だけど、彼女が自分のニキビにこれを張ってくれたら翌朝ニキビが良くなっていた。魔法のようだ!」など性別を問わず多くの高評価が寄せられる。

Z世代やミレ二アル世代の価値観を色濃く反映しているカルチャーがこの「身体の悩みは隠さず見せる」というもの。数年前から、白髪を地毛の色に染めるのではなく、あえて全体をシルバーに染める人が増えたことも同じ理由だろう。今、例えばイギリス国内で月間一万人以上が「ヘアカラー シルバー」で検索していたり、写真共有サイトのピンタレストでシルバーの一種「マッシュルームブロンド」が前年より308%アップの検索回数を記録していることもそのブームを物語っており、”白髪は隠さなければいけないもの”という認識は薄れてきている。


今夏のトレンドと言われたマッシュルームブロンド

セクシーとは心地よさ。大手下着メーカーのキャンペーン事例

最後に紹介するのは、カルバンクラインが今年2019年に行い、多くのZ世代の心を捉えたキャンペーンだ。同社のキャンペーンといえばこれまでケイト・モスやジャスティン・ビーバーなど錚々たるビッグネームが務めてきたが、今年の顔として抜擢されたのはZ世代から絶大な人気を誇る、シンガーソングライターのビリー・アイリッシュやショーン・メンデスなど。

中でも若干17歳のビリーは、その天使のような歌声と相反するビジュアルイメージ(ネオンカラーやぶかぶかの服を好み、彼女のアートワークも黒い涙を流したり蜘蛛を口に含んだものなどダークな世界観のものが多い)でティーンの間で大人気だが、カルバンクラインが「#I SPEAK MY TRUTH」と題し、スターが自身に関する真実を明かす内容のショートムービーでは「私は世界に私のことを全部わかってもらおうなんて思わない。私がいつもぶかぶかの服を着ているのは、私の服の下がどうなっているかあれこれ言われたくないから。(中略)誰も誰かに対してあれこれ言う筋合いはない」と挑発的ともとれる口調で淡々と話す。

その後ビリーの告白に対して世界中が反応し、彼女の公式インスタグラムアカウントには「あなたの考え方が大好き」「今の世界にはビリーのような人が必要」というようなコメントが溢れた。これまで各時代の「セクシー」を表現してきた巨大下着メーカーが新たに発するメッセージは「セクシーとは自分を偽らず、自然体でいること」だったのだ。


I Spreak My Truth By Billie Eilish

こうしたZ世代間で起こる新しい価値観をたどる中で、彼女らを理解する上で重要になってくるキーワードはこの「心地よさ」や「自分らしさ」に集約されていることがわかる。2020年には全世界で消費者全体の40%を占めると言われているZ世代。グローバルに事業展開をする企業は、彼女たちの心を大きく掴むことが今後の成長の大きなキーになってくるだろう。

文:橋本沙織
編集:岡徳之(Livit

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