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東洋経済オンライン

日本人男性の「寿司・ラーメン離れ」意外な実態

前沢 裕文
8/28(水) 05:30

日本人男性の寿司離れの実態とは?(写真:Job Design Photography / PIXTA)

若者の“車離れ”“お酒離れ”をはじめとして、消費が落ち込むと現れる、メディアの「○○離れ」報道。博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」データを読むと、さまざまな「○○離れ」の芽が見えてきます。

顕著な漬物離れ。寿司、ラーメン離れも進む?

近年顕著なのは、“和食離れ”。「生活定点」の調査で、「和風の料理が好き」と答えた人は、1998年には65.8%いましたが、2018年は45.0%へと激減しています。男女共に20代~60代の全世代で、10~30ポイント減と、性別、世代問わず満遍なく落ち込んでいます。

連載1回目は「日本人の◯◯離れ」についてです

中でも落ち込みが著しいのが、定食の名脇役であるはずの漬物。「漬物が好き」と答えた人は、1998年の64.8%から、2018年には44.0%と、20.8ポイントも下落しています。

魚料理、酢の物、豆腐などほかの和食もこの20年で好きと答える人は減っていますが、漬物は1番の落ち込みを見せているのです。減塩ブームもあるかもしれませんが、筆者の周囲でも、とくに20代は「居酒屋でおしんこを頼まない」「カレーを食べるときに福神漬を添えない」という人が少なくありません。

さらに、食分野で注目すべき変化があります。「生活定点」の「好きな料理ベスト3は何ですか?」という質問で、近年、不動のベスト3をキープしている寿司、焼き肉、ラーメンの三強のうち、寿司とラーメンに異変が見られるのです。

とくに注目したいのは、20年間にわたって、ずっと好きな料理1位の座を守る寿司に起きている、“30代男性の寿司離れ”です。

寿司が「好きな料理ベスト3に入る」と答えた30代男性は、2016年には36.3%でしたが、2018年には過去最低の24.1%へと、わずか2年で実に12.2ポイントも下降していました。

「人にごちそうするなら、寿司が鉄板」と思っている人は、要注意かもしれません。後輩をねぎらおうと寿司に誘っても、思ったほど喜んでもらえない可能性もあるのです。

金額も、食べるシーンも異なるでしょうが、食の好みだけをみれば、30代男性にとっての寿司とは、カレーライス(好きな料理ベスト3に入る:23.8%)や鶏のから揚げ(同:21.9%)をご馳走するのと、変わらないくらいの地位になってしまっているのですから。

気になるラーメン離れの背景

もう1つ、気になる異変が、“20代女性のラーメン離れ”です。

同じく「好きな料理ベスト3」を尋ねる質問に対し、ラーメンと答えた20代女性は、2016年には25.5%でしたが、2018年には13.0%へと、2年で12.5ポイントも急落しています。

体に気を遣った生活を心がけているのかと思いきや、そうした傾向は調査では現れていません。 

「健康に気をつけた食事をしている」
 2016年 29.8% → 2018年 25.2%(-4.6ポイント)
「ダイエットを意識した食事をしている」
 2016年 26.0% → 2018年 22.8%(-3.2ポイント)
「自然食品(オーガニック、無添加食品など)をよく利用する」
 2016年 16.6% → 2018年 8.9%(-7.7ポイント)
「太らないように気を配っている」
 2016年 48.1% → 2018年 46.3%(-1.8ポイント)

と、むしろ食事や健康に気を遣わない人が、わずかながら増えているほどです。

ちなみに、ラーメンが「好きな料理ベスト3に入る」と答える人の割合が、毎回女性の2倍以上に上り、ラーメン人気を支えている男性層においても、

40代男性 2016年 39.0% → 2018年 28.4%(-10.6ポイント)
30代男性 2016年 40.2% → 2018年 36.7%(-3.5ポイント)
20代男性 2016年 40.0% → 2018年 30.8%(-9.2ポイント)

と、軒並みラーメン離れが起きています。

寿司にしてもラーメンにしても、ここ2年に限った傾向であり、いまだ20~30%の人が好きと答える、人気が根強い食べ物であることには変わりません。生活者の短期的な気まぐれなのか、本格的に心が離れる兆しなのか、注目していきたい傾向です。

まだまだある「○○離れ」

ここまで、身近な「食の○○離れ」を見てきましたが、食以外のジャンルにおいても、見えないところで「○○離れ」が進行しています。

例えば、近年ワイドショーを賑わせている不倫。「好きなら不倫な関係でもしょうがないと思う」と答える人が、1998年は20.3%いましたが、2018年には10.3%と半減し、“不倫離れ”ともいえる状況になっています。もはや10人に1人しか容認派はいないわけで、不倫報道にネット上などで批判が殺到するのもうなずけます。

これと近いものとして、“プレイボーイ・プレイガール離れ”もこの20年で進んでいます。具体的には、「いくつになっても恋愛していたい」という質問に、1998年には49.9%が「はい」と答えていましたが、2018年それが29.3%にまで、実に20.6ポイントも減っています。

日本人が恋愛にまじめな傾向は、今後も続くのでしょうか。

ほかにも、興味深い傾向はいろいろあります。

● 超能力離れ 「超能力を信じる」
1992年 42.2%→ 2018年 23.5%(-18.7ポイント)

● 60代の大掃除離れ 「1年以内に年末の大掃除をした/60代」
2002年 76.9%→ 2018年 59.0%(-17.9ポイント)

● 20代女性のペット離れ 「ペット(犬、猫、鳥など)を飼いたい/20代女性」
2002年 58.3%→ 2018年 37.4%(-20.9ポイント)

●あてのない旅離れ 「予定を立てない旅をしてみたい」
1998年 51.6% → 2018年 36.6%(-15ポイント)
*それぞれここ20年程の最高値を記載

などなど、ここ20年程で、ピークから右肩下がりを描いているデータがいくつも見られます。

ここまで見てきたように、ロングデータは人の心の移ろいやすさを浮き彫りにしています。そして、移ろい離れていっておきながらも、ものが終売になる、店が閉店するなどとなると、途端に惜しみ始めたりするのが私たち。急に慌てなくても済むように、普段から「○○離れ」の兆しに目を配っておくのも一助になるのではないでしょうか。

【参考情報】
「生活定点」調査概要
調査地域:首都40km圏、阪神30km圏
調査対象:20~69歳の男女3080人(2018年・有効回収数)
調査手法:訪問留置法
調査時期:1992年から偶数年5月に実施(最新調査は2018年5月16日~6月15日)

(前沢 裕文:博報堂生活総合研究所・上席研究員/コピーライター)

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