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『TOKYO MER』で鈴木亮平が確立させた“リーダー像” 離島医療のリアルな描写も光る一作に

かたおか由衣
8/27(水) 07:30
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』©2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

 劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』(以下、『南海ミッション』)が大ヒット中だ。8月1日に公開され、興行収入は30億円を突破、公開17日間で244万人を動員している。「TOKYO MER」は、手術室を備えた特殊車両で災害現場に駆けつけ、命がけで救命活動を行う東京都直轄の医療チーム。今作では、鹿児島と沖縄にまたがる島々をカバーする新チーム「南海MER」が登場し、テレビドラマの世界観を大きく広げた。

参考:“映画好き”にこそ勧めたい『TOKYO MER 南海ミッション』 “攻め”のディザスターに興奮必至

 2021年のドラマ開始から2025年の劇場版最新作まで、4年間にわたって喜多見幸太というキャラクターと歩んできた鈴木亮平。もはや、喜多見という医師がどこかにいるのでは、と思わせる。鈴木は、どのように「医師」としての説得力を見せているのか。

⚫︎身体のフォルムにまでこだわるストイックさ

 鈴木といえば、役柄に応じた徹底的な肉体改造がたびたび話題となる。『HK/変態仮面』(2013年)では、15kg増量してから脂肪を落として身体を作り、漫画に見劣りしない美しいボディメイクを実現。2015年の『天皇の料理番』(TBS系)では、病に侵される役のため20kg減量し、頬のこけた痩せ細った姿で驚かせた。映画『俺物語!!』では体重を30kg増やし、2018年の大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)ではおよそ100kgまで増量、2024年に配信されたNetflix映画『シティーハンター』では、主人公の冴羽獠を演じるために筋肉質でありながらシャープな体型を作り上げた。

 身体づくりだけではない。役そのものに“入り込む”のが鈴木の役作りだ。今作『南海ミッション』で共演した江口洋介はこう語っている。「『西郷どん』で西郷隆盛をやられた時は西郷さんになりきって、現場でもどっしり構えて『よかよか!』みたいに(笑)なっていたはず。そういう風に作品全体をとらえて、そのまま芝居に入っていかれるんだなと」。これに対して、鈴木は「現場ではなるべくその役として、自然体でいるようにしています」と答えている。(※1)

 鈴木が演じる喜多見は、「待っているだけじゃ、救えない命がある」という信念を持つ救命医だ。爆発現場や崩壊寸前のビル、テロ事件の現場に自ら飛び込んでいく。この能動的な医師像は、鈴木の長身と鍛えられた肉体があってこそ成立する。

 医療演技のリアルさも際だっている。新メンバーとして加わった高杉真宙や生見愛瑠からは「現場にもうひとり医療監修の先生がいるようだった」と言われるほどで、実際にオペシーンを演じるにあたっては、タブレットに人体アプリを入れて臓器の位置や必要な処置を理解するなど、細部にまでこだわりを見せた。(※2) しかし、喜多見の魅力は技術面だけではない。極限状況でも声を荒げず、患者にも同僚にも柔らかい言葉遣いで接する姿勢。それは、人間的にも成熟したキャラクターの証だ。

 公開中の『南海ミッション』で、喜多見は「一歩引いて見守る」リーダー像を見せた。諏訪之瀬島で火山が噴火し、79名の島民が取り残される極限状況。噴石が飛び交い溶岩が迫る中、喜多見は直接的な指示ではなく、南海MERの各メンバーの判断を尊重する姿勢を貫く。

 特に印象的だったのは、江口演じる「南海MER」のチーフドクター候補・牧志医師との関係だ。「平和が一番」が口癖で、出動要請のない日は釣りを楽しむ牧志。一見頼りなく見える彼が、東京の官僚とのやり取りの最中、突然「南部、北部に○人いて、持病がある人が○人」と島民全員の健康状態を詳細に語り始め、喜多見を驚かせる場面があった。

 喜多見は「迷っている時間も命を奪う」と決断の重要性を説きながらも、牧志に判断を委ねた。喜多見の芯がより太くなったことを感じた。

⚫︎元離島住民から見た離島の共同体のリアルさ
 2019年から2023年まで沖縄・竹富島で暮らしていた筆者にとって、本作の離島描写はリアルだった。

  牧志が全島民の健康状態を把握している設定は、離島医療の本質を突いている。人口300人程度の島では、診療所の医師は1人。だからこそ医師と住民の距離が近く、カルテ以前に人間関係の中で健康情報が共有されている。

 また、医療従事者でなくても協力し合う姿は、モノも人も少ない離島の共同体を良く表現していた。玉山鉄二が演じる漁師の麦生が、本業のかたわら消防団員を務め、YouTuberとしても活動する。人口300人程度の竹富島では、1人が複数の役割を担うのは当たり前だった。限られた人数で島を運営するためには、誰もが多才だ。麦生の姿に、島で出会った多彩な人々の顔が重なった。

 北部に取り残された人たちが絶体絶命の状況に追い込まれたとき、喜多見と牧志が助けに現れたシーンは、特に感情が揺さぶられた。かつて見た島の人々の助け合いの精神を重ね、感極まって涙が止まらなかった。エンドロールで全国各地の僻地医療の現場写真が流れ、見覚えのある竹富診療所が映ったときは、作品制作陣の取材の深さを実感した。

 鈴木の徹底したプロ意識が、喜多見というキャラクターを作り出した。威圧的でない強さ、専門性と人間性の両立、チームを信頼し任せるリーダーシップ。喜多見像は、現代社会が求めるリーダーの姿そのものではないだろうか。憧れている子どもが多い事実も納得だ。自ら現場に飛び込む姿勢は、演じる鈴木自身の俳優としての在り方とも重なる。作品と向き合い、役と共に生きる。その姿勢が、多くの人に確かな感動を届けている。

参照
※1. https://www.leon.jp/peoples/295932?page=3
※2. https://www.oricon.co.jp/news/2400290/full/
(文=かたおか由衣)

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