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散らかり方と汚れようが尋常でない「汚部屋」と聞くと、多くの人は「マスコミで報道される、お年寄りの住むゴミ屋敷」をイメージするかもしれない。ところが、汚部屋問題はもっと若い働き盛りの世代にも無縁でなく、そこまでひどくなくても、片付かない部屋に人知れず悩んでいる人は多い。
今回は、汚部屋問題に悩みながらもそれを克服した、『まさか、汚部屋を卒業できるとは。』(すばる舎)の著者であるややこさんに、汚部屋にしないための習慣術をいくつか教えていただいた。
■「出したらしまう」を徹底
いったん片づけても、また部屋が散らかってしまう「汚部屋リバウンド」になってしまう人は、「メンドウなことをつい後回しにしてしまう」クセが抜けない人。今ある小さなメンドウを積み重ねると、対処しにくい大きなメンドウになってしまう。そこで大事なのが、「出したらしまう」。
「例えばごはんを食べたら、食器を洗うところまでやってしまう。使ったものは元の場所に戻す。ひとつひとつの作業の『終わり』に『片づけする』ことまでを含ませるように心がけるとよいでしょう」と、ややこさんはアドバイスする。
■着なくなった服、読まない本は思いきって捨てる
体型の変化といった理由により、着られなくなった服たち。「また元の体型に戻ったら着よう」と、いつになるか分からない目算を立てるより、捨ててしまうのが吉だと、ややこさんは言う。
「服だって古くなっていきますし、それをずっとしまっておくスペースはもったいないです」
いつか読もうと思って、積読状態になった本も同じ。今後も読まないと判断した本は、思い切って処分したほうがよいとも。また、ぬいぐるみやキャラクターグッズのような愛着のあるものは、ひとつずつ写真に撮ってお別れすると、気持ちの整理がつきやすいという。
■収納家具は必要最低限に
ややこさんは、以前は汚部屋に住みながらも、カラーボックスやキャビネットなどの収納家具は多かったという。もっともそれらは、使わないものや目にしたくないものを、とりあえず入れておく場所と化していたという。
「今、お部屋で活躍してくれている収納は無印良品のポリプロピレン収納ケースです。湿気の多いわが家でも痛まずにすみますし、引き出しになっているので、ホコリが入る心配もなく、お手入れが楽チンです」
ややこさんの部屋で活躍中の収納ケース
以前のカラーボックスの類は、粗大ごみとして処分したという。そして、活用している収納家具は、パツパツにものを入れるのではなく、ちょっと余裕があると出し入れしやすくストレスにならないとも。
■本当にほしいものだけを
ややこさんは、ミニマリストを勧めているわけでなく、買い物をしたときに感じる満たされた気持ちまでは否定しない。ただ、次々と買いこんで一時の幸福感を求めるのではなく、「本当にお気に入りのものがお部屋にあると幸せな気持ちになれる」ことを知ってほしいと言う。
「まず予算立てをして、その中で自分がこれだ、と思えるものと出会えるまで、インターネットで調べたり、実際に店舗へ行って触ったりして衝動買いせずにじっくり考えて買うようにするとよいです」
ややこさんが汚部屋を卒業して感じたのは、「片づけとダイエットと節約は連動」していることだという。これら3つの共通点は「毎日コツコツ挑戦すると結果が出る」こと。片づけの習慣が身につくと、同じく地道な積み重ねが必要なダイエットや節約にも気軽にチャレンジでき、実際の話、ややこさんは20kgの減量に成功している。もしかすると「一石三鳥」もねらえる、汚部屋予防の習慣術。本書を読んで、本格的にトライしてみてはいかがだろう。
ややこプロフィール
元「汚部屋の住人」=「オベヤー」。10年近くオベヤー暮らしののち、一念発起。大そうじをはじめて、そのもようをブログ『アラサー女子が汚部屋を脱出するまで』で公開したところ、反響を呼び、「汚部屋ビフォアフター・コンテスト」で受賞。
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。