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ビジネスジャーナル

ソフトバンク、元副社長に報酬348億...日産・ゴーン氏は3社から報酬で計20億目前

7/20(木) 06:12
ソフトバンクグループの孫正義社長(写真:つのだよしお/アフロ)

 東京商工リサーチがまとめた「2017年3月期決算 上場企業『役員報酬1億円以上開示企業』調査」によると、2017年3月期決算で役員報酬1億円以上を開示した上場企業は221社、人数は457人だった。

 社数は前年同期の211社を10社上回り、15年3月期の212社を抜いて過去最多となった。開示人数も前年同期(414人)を43人上回った。3月期では2013年から5年連続で増加した。

 2年連続で役員報酬1億円以上の311人のうち、半数を超える170人(構成比54.6%)は前年より役員報酬が増加した。

 役員報酬の最高額はソフトバンクグループ、ニケシュ・アローラ元副社長の103億4600万円。前年記録した自身の最高額(64億7800万円)を抜き、役員報酬の最高額を更新した。

 2位は同じくソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー取締役副会長の24億2700万円。3位はソニーのマイケル・リントン執行役EVPで11億4000万円。4位が日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)の10億9800万円。5位は武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長兼CEOの10億4800万円。上位5人は外国人経営者が占めた。

 個別開示人数の最多は三菱電機の22人。前年同期の23人より1人減少したが4年連続でトップを守った。次いで、伊藤忠商事の11人で、前年同期の3人から大幅に増えた。

 今回は、上位を占めるソフトバンクグループ、日産自動車、ソニーの特徴を分析してみよう。

●孫正義社長の役員報酬は1億3900万円

 ソフトバンクグループは6月21日、都内で株主総会を開いた。孫正義社長が後継者に据えながら2年足らずで退任したニケシュ・アローラ氏に88億円の退職金を支払うなど巨額報酬を疑問視する声が多くあり、質問に立った株主から「2度とこのようなことがないようにしてもらいたい」と注文が付けられた。

 孫氏は「結果的に払う必要のない退職金を払った。(中略)代わりに私が現役社長として戻ってきた。それが価値としてあるのではないか」と間接話法で理解を求めた。

 アローラ氏に支払った報酬は、退職金など諸費用を含むと総額348億円になる。孫氏は、グーグル時代にアローラ氏が得ていた報酬やストックオプションなどから計算したと説明した。退職金については契約に基づいて支払ったとしているが、えらく気前がいい。アローラ氏は孫氏の投資手法を「趣味的」と痛烈に批判していたが、アローラ氏への報酬の支払い方も趣味の域を出ないといえるかもしれない。アローラ氏の高笑いが聞えてくるようだ。

 総会後に提出された有価証券報告書で、アローラ氏の役員報酬の内訳が明らかになった。ソフトバンクグループからの基本報酬は3300万円。米国法人ソフトバンクグループUSの基本報酬が2億4500万円、株式報酬が11億9600万円、退任費用が88億4700万円。米携帯電話会社スプリントの基本報酬が2500万円。締めて103億4600万円。

 これに対して、孫氏の役員報酬はソフトバンクグループの基本報酬1億1700万円と賞与2200万円の合計1億3900万円で、アローラ氏の1割強にとどまる。

 世界的な大富豪となった孫氏にとっては、役員報酬など気にかけるほどのものではないだろう。孫氏は同社の株式の21.0%を所有する筆頭株主だ。17年3月期の年間配当は前期より3円増加し、1株当たり44円。孫氏が受け取った配当金は101億7300万円にも上る。

●カルロス・ゴーン氏は3年連続の10億円超え

 日産自動車現会長のカルロス・ゴーン元社長兼CEOの役員報酬は10億9800万円。3年連続の10億円超で、前期より2700万円(2.5%)増えた。報酬額の開示を始めた09年以後で最高だ。社外取締役を除く8人の取締役の役員報酬は19億4800万円であり、ゴーン氏が役員報酬の56%を一人占めしている計算だ。このパターンは毎年同じである。

 ゴーン氏の仏ルノーのCEOとしての16年の報酬は総額700万ユーロ(約8億7000万円)。昨年12月に系列に収めた三菱自動車の会長職も兼務しており、3社の報酬の合計額は20億円に手が届きそうだ。

 ゴーン氏は資本・業務提携するルノー、三菱自動車との3社連合を強化するため、4月に日産の社長とCEOを退任。共同CEOだった西川廣氏が社長職を引き継いだ。西川氏の役員報酬は3億9600万円。前年同期は2億円だったから、ほぼ倍増したことになる。今期(18年3月期)にさらに大幅アップするかが注目点だ。

●平井一夫社長は9億円、株主総会での賛成率は低下

 ソニーの平井一夫取締役、代表執行役社長兼CEOの役員報酬は多岐にわたる。基本報酬が2億2800万円。業績連動報酬2億8600万円との合計で5億1400万円。このほかストックオプション30万株が付与されている。新株予約権の付与日の1株当たり価値は1291円なので、3億8730万円になる。

 役員賠償責任保険の一部保険料600万円をソニーが負担。フリンジ・ベネフィット相当額及びそれに伴う所得税額の一部補塡1300万円もソニーが負担している。

 フリンジ・ベネフィットとは、賃金以外に提供する経済的利益。乗用車をはじめ住宅、子供の教育の補助や医療、食事、あるいは社内低利融資制度などがある。賃金外給付と呼ばれている。いわば“役得”である。海外に自宅がある場合、フリンジ・ベネフィットが付与されることが多く、ソニーを奈落の底に突き落としたハワード・ストリンガー氏が社長兼CEOの時にも恩恵を受けていた。在米勤務の長い平井氏も、現在の勤務は日本が中心なのに外国人の扱いに準じている。

「これだけ高額になったのだから、フリンジ・ベネフィットは、そろそろ辞退すべき」(関係者)との指摘もある。

 これら合わせると、平井氏の役員報酬総額は9億2030万円。ストックオプションの付与が前年の20万株から30万株に増えた結果、役員報酬の総額は1億9400万円増えた。

「こんな高額報酬に見合った仕事をしているのか」と疑問視する株主が少なくないようだ。株主総会での平井氏の取締役選任案の賛成率は88%。前年の96%から低下した。平井社長を除く11人の取締役はほとんどが97%超の賛成を得ていた。平井氏だけが9割を切り、賛成率の低さが際立っていた。平井氏退陣のサインといった辛辣な見方もある。
(文=編集部)

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