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NEWSポストセブン

1日1400kcal、栄養バランス良くても糖尿病になる高齢者も

10/2(月) 11:00
食事と運動に気をつけていても糖尿病になる高齢者も(写真/アフロ)食事と運動に気をつけていても糖尿病になる高齢者も(写真/アフロ)

 53才のN記者(女性)。父の急死で突然、80代の認知症の母を支える立場になった。今まで大きな持病もなく、健康診断で常に優秀な数値を誇っていた母の血糖値が上がった。中高年なら、ツラい食事制限も強いられる糖尿病の兆候。せっかく食べる楽しみが復活したばかりなのに…。N記者が高齢者と糖尿病についてリポートする。

 * * *
 母は認知症こそあるが、体はいたって健康。ぽっちゃり体形、顔もふくよかで、いつも年齢より若く見られる。そんな母も父の急死から約1年半に及ぶ独居で激やせし、認知症の症状も噴出。私は激昂と消沈を繰り返すばかり。母娘のつらい時代だった。

 そして3年前、新天地のサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に転居。食堂で作ってもらう食事を大勢で楽しく囲むようになると、みるみる元のふくよかな母に戻り、物盗られ妄想などの認知症症状も不思議なほど消え失せた。

 母の快調は毎月の内科の健診結果にもあらわれた。

「いいですよ~、血圧も安定しています。こちらでの生活を楽しんでいらっしゃるのね」

 母の主治医は中年の品のいい女医さんで、お顔も声も女神様のようにやさしい。

「いいですよ~」とにっこり微笑みながら言われると、なんだか満点を取ってほめられた子供のような気分になる。

「はい。楽しく暮らしております。先生にお会いするのが楽しみだからまた来ますね」

 と、母も満面の笑みだ。ところが転居から2年目、昨年の健診で思いがけない数値が出た。

「血糖値が高いですね…。糖尿病になっちゃいました」

 いつもの女神のやさしい声ながら、母にプレッシャーを与えないようにという配慮が交ざった妙な言い回しだった。

 糖尿病といえば、食べすぎと運動不足でメタボな中高年がなりやすく、失明など深刻な合併症がある恐ろしい病気のイメージがある。実際、糖尿病や予備軍と診断された私と同年代の友人たちは、厳しい食事制限や運動を強いられている。

 しかし、母の食事は3食で1400kcal前後、栄養バランスを考えた申し分ない献立だ。お菓子もほとんど食べない。そして日課の散歩、週3回のリハビリ系デイケアで運動もめいっぱいやっている。これ以上どうすればよいのだ…。再び私は、途方にくれた。

「先生、どうして母は糖尿病に? こっそりお菓子を食べたりしてるんでしょうか?」

 焦って聞く私。すると横から母が「そーんなこと、するわけないでしょ」と、おそらく状況もわからないまま、ツッコミを入れてきた。血糖値が上がっても本人にはほとんど不快感はないそうだ。

「高齢者は体の老化によって、どんなに健康的な生活をしていても、血糖値や血圧が上がることがあるの。まずは日常生活でできることから始めましょう」

 まず3食のうち夕食の白米を3分の2に減らす指示が出た。食堂の白米は1膳150g。これを100gに減らした。見た目はそれほど減量感はない。ところが1か月後、血糖値はまた上昇。先生は少し考え、

「では3食とも減らしてみましょう。ただ、おかずはしっかり食べてくださいね」

「先生、私はね、人さまが作ってくださった食事は絶対に残さないんですよ。毎日、全部おいしくいただいています」と、母が胸を張った。

 そして最初の減量から3か月後、母の血糖値がストンと落ちた。正常値と比較すればまだまだ高めだが、薬物治療などの必要性は遠のいた。

「ヤッター、合格ですね?」

 と意気込む私に、女神様は、「数字ばかり気にしてご本人にプレッシャーを与えちゃだめですよ。運動もできるだけ続けてくださいね」と言った。

※女性セブン2017年10月12日号

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