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【ガチ】英企業が「完全なるマトリックスの世界」構築へ、SBが5億ドル出資! 未来人の思惑か...シミュレーション仮説が現実に

5/23(火) 11:00
イメージ画像:「Thinkstock」より

 現実とまったく見分けがつかないデジタルなバーチャルワールドの“創造”に本腰を入れて取り組む有望な企業が話題だ。その目的は“マトリックス”を作り上げることだという。

■大規模のバーチャルワールドを作り上げる事業が本格始動

 先日、小雨が降る夜の道を傘もささずにスマホを凝視しながら平然と歩いている人を見かけて、今の人類に何らかの変化が確実に訪れていることを痛感したのだが(!?)、“歩きスマホ”というのはある意味で当人が肉体を忘れている状態だ。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/05/post_13263.html】

 現実の生活の中での“歩きスマホ”は物理的なリスクを伴うものだが、ならばいっそのこと、デジタルなバーチャルワールドの中に入ってしまえば、何の心配もなく完全に肉体を忘れて歩きまわれるだろう。そして今、大規模なバーチャルワールドを作り上げる事業が本格的に始まっている。

 イギリス・ロンドンのITベンチャー「Improbable」は、映画『マトリックス』のような壮大な規模のバーチャルワールドの構築に本格的に着手している。世界を丸ごと電脳空間に変える“世界シミュレーション”計画とも呼べるこのプロジェクトに、少なくない数のビジネスリーダーが将来的に有望であると見込んでいて、日本のソフトバンクからも5億200万ドル(約570億円)の出資が行われている。

 現在でもオンラインビデオゲームの世界では、広大なバーチャルワールドを舞台に多くの参加ユーザーが仮想の“第2の人生”を送っているが、Improbableはこうしたゲームとはレベルが格段に違うほとんど現実と見分けがつかない3Dのバーチャルワールドを“創造”するということだ。

 具体的には現在のオキュラスリフトのようなVRヘッドセットを用いるシステムで、OSには同社が開発した「SpatialOS」が使われているということだ。SpatialOSは膨大なデータを扱うことに長けており、ビデオゲーム以外にも防衛、経済、交通、エンターテインメントの各分野にも活用できるという。

「我々が目指しているのは大規模なバーチャルワールドを作り上げることです。基本的には映画『マトリックス』の世界を作ることです。コンピューティング技術における次の主流は大規模なバーチャルワールドにあると我々は確信しています。これは人間の経験を豊かなものにし、我々の現実認識に変化を及ぼします」と同社CEOのハーマン・ナルラ氏は英紙「Daily Mail」の取材に回答している。


■「シミュレーション仮説」が現実になる日

 Improbableが鋭意開発中の“世界シミュレーション”だが、当初の具体的な用途としては都市計画・設計に使われるということだ。つまり現実の都市空間とそっくり同じのバーチャルワールドを作ることで、計画や設計がより明瞭で効率的に行なえるようになるのだ。また公共交通機関の運行ダイヤや電話回線の使用状況、自動運転車の走行状況をシミュレーションすることにも活用されることが見込まれている。

 すでにSpatialOSはいくつかの分野で活用されていて、電話会社をはじめ各国政府や各企業との共同プロジェクトが進められているということである。また、ゲーム開発会社の「Bossa Studios」から近日リリースされる3Dアクションアドベンチャーゲーム『World's Adrift』でも開発にSpatialOSが使われているのは興味深い。

 より緻密な映像で壮大な空間のバーチャルワールドが近い将来に登場するというのは思わずワクワクする話題なのだが、その一方ですでに我々が暮らしているこの世界がコンピュータシミュレーションだという「シミュレーション仮説」が問題提起されており、アカデミズムの枠を超えて大いに議論されている。

 昨年には米金融大手のメリルリンチの経済予測レポートの中で「我々はすでに20~50%の確率でバーチャルワールドに住んでいる」という記述があり話題を呼んだ。そしてテスラやスペースXなど錚々たる革新的企業のCEOであるイーロン・マスク氏も昨年、カンファレンスの壇上で「我々が“天然”な世界に生きている可能性は数十億分の1の確率だ」と発言して、やはり今の我々がコンピュータシミュレーションの中で生きていることを指摘して世を騒がせた。

 さらにNASAのジェット推進研究所の科学者であるリチャード・テリル氏もまた、この宇宙全体がコンピュータシミュレーションによるバーチャルリアリティーであることを主張してシミュレーション仮説を擁護している。

 これらの主張がもし正しいとすれば、では誰が現在我々が住んでいるこの“世界シミュレーション”を作ったのか? テリル氏に言わせればそれば未来の我々だ。この我々につながる未来人が、どこかの時点で地球規模(あるいは太陽系規模)の“世界シミュレーション”を完成させ、そのバーチャルワールドの中へ過去の人類を“放り込んだ”と説明しているのだ。

 とするならば、ひょっとするとこのImprobableが今後、シミュレーション仮説の根拠となる“世界シミュレーション”を完成させることになるかもしれない。いずれにしてもImprobableの動向は要チェックのようだ。
(文=仲田しんじ)


※イメージ画像:「Thinkstock」より

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