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公営住宅 目立つ空き部屋/高齢化で孤独死増える恐れも

7/2(月) 12:17
築40年以上が過ぎ、老朽化が進んだ幸畑第4団地。空き室も目立ってきた=今年5月

 青森県内で公営住宅(団地)の戸数が最も多い青森市で県営、市営ともに入居率が徐々に低下、空き戸数が増えてきた。人口減少の影響に加え、老朽化の速さに修繕が追いつかない側面もある。若い世代が減り入居者の高齢化が進行、将来の孤独死の増加などが懸念される。

 5月下旬、青森市中心部から南の八甲田方面へ約8キロ。市営の幸畑第4団地は平日午前中とあって人影はまばらだ。16棟ある建物はどれも黒ずみ、ひび割れ、塗装の剥がれが目立つ。

 庭いじりに汗を流していた女性(86)は「完成した年(1976年)から住んでいる。初めは新しくて良い建物だった。人も多かった」と懐かしむ。「(最近は)若い人が出て(代わりに)入って来る人がいない。半分ぐらいしか埋まってないのでは」と表情を曇らせた。

 公営住宅の入居対象者は基本的に持ち家がなく、他に住む所のない人が対象で所得条件がある。

 青森市の県営、市営住宅は現在、県内自治体で最多の計4700戸余り。4月現在、幸畑第4団地は312戸中214戸の入居にとどまり、入居率は市営住宅28カ所中で最も低い約69%だ。市営全体では約87%と、2014~18年度の5年間に8ポイント近く落ちた。

 市内に9カ所、2千戸余りある県営住宅の入居率もほぼ同期間、同じように下がり約86%になるなど似た状況にある。県営、市営の空きは計630戸で、戸数全体の約13%を占める。

 入居率低下の要因について県建築住宅課の越田昌樹主幹は「人口および世帯数の減少が大きい」と指摘する。国勢調査によると、県人口は1985年の152万4千人をピークに減り、直近の15年には130万8千人。同年、総世帯数は初めて前回を割り51万となるなど、数字の落ち込みは顕著だ。青森市も旧浪岡町と合併した05年に人口は31万2千人を数えたがその後は減少。世帯数も県全体と同じく10年が最高だった。

 終戦間際の空襲で中心部が焼け野原となった青森市は、かつて住宅不足が深刻だった。「県営、市営ともに昔は夢のような住宅と言われ抽選が当たり前。入居率が下がったのはここ数年」(県建築住宅課・加藤宏一総括主幹)という。

 空き戸数増加について、別の要因を指摘する声もある。青森市住宅まちづくり課の石郷昭規参事は「老朽化した建物の修繕が追い付かないためでは」と話す。

 というのも現在ある市営、県営住宅は昭和40~50年代に建設が相次いだ。同時期に建った建物は、老朽化も同時並行で進行するため修繕時期が重なり、作業が追い付かなくなっているという。

 入居率低下は「冬場の雪かき当番など共同の作業に支障が出るほか、共益費の減収で各戸の負担が増える」(越田主幹)といったマイナス面もある。

 一方、入居者の高齢化は確実に進行している。

 県建築住宅課によると同市の県営住宅で、65歳以上の高齢者が1人でもいる世帯割合は最も低い戸山で34%。40%台が多く、1971~73年に建った桜川団地は76%を占めるなど、年々上がっているという。

 市営住宅の高齢化について青森市は統計を取っていないが石郷参事は「市営住宅ごとにいる管理人のなり手は高齢化もあって少なくなってきた。高齢化、単身化が進めば、孤独死などの問題が増えてくる」と推測する。
 

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