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「大貴の命を奪ったのに何言ってんねん。大貴は殺されたんや」最高速度178キロ...国道トンネル内で対向車線にはみ出し衝突 息子を亡くした母の思い

7/13(日) 06:17

11年前のきょう、7月13日、鳥取県智頭町の国道で2014年に起きた交通事故。友人の運転する車が対向車線にはみ出してガードパイプに衝突し、同乗していた若者が命を失いました。
息子を失った母親が抱き続ける思いとは。

【画像を見る】国道トンネル内で対向車線にはみ出し衝突…事故のあった現場は

「届け遺族の声~大貴と供に~」と題し講演したのは、京都府在住の中本佐智さん。事故で亡くなった中本大貴さん(当時22歳)の母親です。

この日、倉吉警察署で開かれた講演には、警察職員や高校生が参加し、犯罪被害で残された家族のつらさや当時の思いが赤裸々に語られました。

「交通事故という言葉が嫌い」

11年前の2014年7月13日、大学生だった大貴さんは、友人が運転する車に同乗していました。
鳥取県智頭町の国道373号のトンネル内を走行中、車は対向車線にはみ出してガードパイプに衝突。大貴さんは頭を強く打って亡くなりました。

中本佐智さん
「午前10時、当時はもう家に電話が鳴るっていうことがほとんどないような環境でしたので、オレオレ詐欺とかが流行りだした頃でもありました。
家にかかってくる電話っていうのは変な電話勧誘の電話とか、もしかしたら詐欺の電話かもしれないし、気をつけて出ないといけないよっていうような時代に差し掛かっていたと思います。
本当に思いがけず久しぶりに家の電話が鳴りましたので、ちょっと警戒心を持って電話に出ました。

すると鳥取県の警察で、大貴さんが鳥取で事故に遭い、今病院に行っています。お医者さんからは危険な状態だと言われているので、すぐに来てくださいというふうに言われました。

そういうことってドラマの中の世界のことであって、私はそんなこと起こるわけない、怪しい電話かもしれないと信じられませんでした。」

警察の担当者から、すぐに鳥取に向かってくださいと言われた後のことは、ほとんど覚えていないそうです。鳥取駅に着くと電話をしてくれた警察官が迎えに来てくれていて、病院へ向かいました。

「ごめんなと照れ臭そうに出てくるんだろうなと思っていた」

中本佐智さん
「病院に着くと控室に通されて、お母さんちょっとここで待っててもらえますかって言われて座らされていたので、私はきっと何か手違いがあって、大貴はきっと「ごめんな」って照れくさそうに笑って出てくるんだと思っていました。

何分待ったがわかりませんが、救急救命室に通されると、大貴は体中に機械を付けられて頭に包帯を巻いて横たわっていました。

顔には全く傷がありません。身体にも全く傷がありません。穏やかな顔で眠っているようでした。

しかしふと気が付くと、枕とそれにかけてあったバスタオルが赤黒い血で染まっていました。」

心肺蘇生を続けてくれている医師に、もうやめていいかと聞かれても、中本さんは、いいとは言えませんでした。「嫌です、嫌です」と何時間も言い続けたそうです。

中本佐智さん
「同じく駆け付けた親戚たちに説得され、大貴のつながっている管を外してもいいということを最終的に判断したのは私です。
10年経ちましたけれども、その時に処置を辞めてもらう判断を下したことをずっと後悔しています。」

「通夜の前日、いつも家族3人でテレビを見ながら、ご飯を食べたり笑ったりしていた部屋に大貴の布団を敷いて、ドライアイスに包まれた大貴と一晩を過ごしたことは覚えています。
病院で触ったときは今の私達と同じような体が、ドライアイスに囲まれて硬くて冷たくてガチガチだった事、その大貴を抱きしめて一晩過ごした事、それは私にとってこの手が覚えてる一番悲しい感触です。」

当時22歳だった大貴さん。親子で触れ合うことは少なくなっていたそうです。
中本さんは、大きくなるにつれて触れ合う機会がどんどん減ってしまうのは仕方がないことだが、大切な人とは、触れ合えるうちに触れ合ってほしいと涙をこらえながら話しました。

「大貴の命を奪ったのに何言ってんねん。大貴は殺されたんやと実感しました」

後日、警察がカーナビを解析したところ、大貴さんの乗っていた車は最高時速178キロ、事故が起きた時は144キロ出ていたことが分かったそうです。

中本佐智さん
「加害者本人の証人尋問の時には、同棲している婚約者がいるので実刑は免れたいという風に言いました。大貴の命を奪ったのに何言ってんねんと怒りがこみ上げてきました。大貴は殺されたんやと実感しました。」

誰にでも優しく、強くて明るい性格だったという大貴さん。
中本さんは自身のことを影と表しました。「太陽の大貴がいて、影の私がいてやっと私という人間が成立する」と。

生きる意味を見失っていた中本さんは事故の5年後、カウンセリングを受け始めました。
被害者サポート支援の団体や警察の存在にとても助けられたと話します。

今でも速度超過で事故を起こした運転手のことは許せないし、憎い。だけど短い人生、ずっと憎んでいても自分の時間がもったいない。だったら今度は、自分と同じように傷つき、生きる意味を見失っている人を助ける側になりたい。

自分のような被害者を1人でもなくすため、そして支えるために、中本さんは今後も講演活動を続けていきます。

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