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園遊会では、皇族の方たちは招待された方たちを最高の装いでもてなされます。昨年秋、雅子さまは秋色の豪華な訪問着で園遊会にお出ましになりました。愛子さまは、園遊会へのお着物デビュー。愛子さまの大振袖のお姿は、まるで爽やかな風が吹いたよう。振り返って、かつてご結婚後に園遊会にお出ましになった雅子さまは、落ち着いた大人の魅力を感じさせるお着物をお召しでした。雅子さまと愛子さまの園遊会での和装姿を振り返りましょう。
昨年10月30日の秋の園遊会は、愛子さまにとって園遊会でのお着物デビューとなりました。ほのかな桃色に、ふんわりとたなびく雲取りに四季の草花をあしらった扇の面の文様が華やかな大振袖をお召しです。
昔から、雲には神や霊が宿るとされています。また、扇は別名「末広」というほどで、広げると末広がりになるところから、福を招いたり邪悪を避ける力を持っているとされる吉兆の文様です。
帯は着物と同じ色で、格調高い菱形の中にも花文様をあしらい、品よくまとめられています。晴れの場にふさわしく、参加されたすべての方たちに善きことがあるようにと願われた色柄をお選びでした。
招待された方たちと笑顔で会話する愛子さまは、ひときわ華やかで注目を集めたのです。
その日、雅子さまは色づいた紅葉をいっぱいに散らした豪華な訪問着をお召しでした。紅葉は春の桜と並んで、秋を代表する文様のひとつ。夏に疲れた体を紅葉を見て生気を取り込もうとするためといいます。それが紅葉狩の起源といわれ、山の中で宴をして体力の回復をうながし秋の収穫を祝う、という祈りが込められた文様です。
さらに、愛子さまと揃えたかのような大柄な菱文の帯を締め、日本のトップレディにふさわしい格調高い装いをされていたのです。
ひるがえって、雅子さまの園遊会のお着物デビューはどのようなものだったでしょう。
1993年(平成5年)6月9日、皇居・宮中三殿で「結婚の儀」が執り行われ、皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)と雅子さまはご結婚されました。皇居から赤坂の東宮御所までのパレードには、約19万人もの国民が詰めかけ、お二人を祝福したのです。
皇太子妃となられた雅子さまは、翌年の春の園遊会にはお着物でお出ましに。淡い青の地に、幸せを表す吉祥文様の小振袖に、着物の文様と色を合わせた大柄の帯を締め、華やかな中にも落ち着いた大人のたたずまいです。ちょっぴり緊張の面持ちも初々しい雅子さまでした。
1999年(平成11年)10月14日に行われた秋の園遊会には、淡い黄色の訪問着でお出ましです。このころになると、若々しい小振袖から、大人らしいしっとりとあでやかな訪問着をお召しになられています。
訪問着には、菊や水仙、なでしこなど、四季の花々が美しく描かれています。四季折々の花がある日本では、その季節感を身につけることが和装のおしゃれのひとつ。白地の豪華な帯を合わせて、あでやかな装いです。
このころ、雅子さまは園遊会にお出ましになったおりの感想を話されています。1996年(平成8年)12月のお誕生日の際しての記者会見のことでした。
雅子さまは、ご結婚されてから以前はあまり会うことのなかった人と会う機会が増えたとし、
「初めて秋の園遊会に出席をさせていただいた時には、各界の著名な方とお会いするということで、ずいぶんと緊張したのを記憶しています」
と語られました。
そうして「最近はおかげさまで、そういう方からその方の分野のお話なりを伺うことを楽しみにするような余裕も出てきたような気がいたします」ともおっしゃっています。
皇太子妃にお会いする参加者は緊張でいっぱいでしょう。そんな中で、皇太子妃も緊張されていたなんて、あたたかなやさしさが感じられますね。
これから海外からの来賓や、お出ましの機会も多くなり、雅子さまと愛子さまの華やかなお着物姿を見られる機会もますます増えることでしょう。
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参考文献/『ご即位5年 ご成婚30年 新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、『きものの文様』(藤井健三監修、世界文化社)、宮内庁公式ホームページ
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
バナー写真/JMPA
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